ピコピコハンガー

@close_226のディジタル排泄物

第1回くろーずの推薦図書(小説編)

 明けましておめでとうございました。

 

 令和2年が始まり、ひっしーが本格的なブログを立ち上げたり、ルートがキツキツキャスをしたり、ルートがザッハトルテを作ったり、ルートが腹を壊したり、ルートのバイト先の店長がインフルエンザに感染したり、ルートがセンター試験を受けたりと、とても賑やかな日々が続いています。

 

 で、そろそろ何か記事を上げたいと考えてはいましたが、オフ会には行ってないし、ポケモンはあまりやってないし、新しいゲームも買っていないし……。

 

 というわけで、シンプルに布教活動に勤しむことにします。たまにはこういうオタクっぽいのも悪くないでしょう。

 

 ちなみに今回紹介する書籍はすべてくろーず図書館の蔵書なので、オフラインで会える方にはいつでもお貸しできます。バッチコイ

 ちなみに順不同です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.舞城王太郎ディスコ探偵水曜日(上・下)

f:id:close226:20200118163346j:plain

f:id:close226:20200118163350j:plain

 

 今とここで表す現在地点がどこでもない場所になる英語の国で生まれた俺はディスコ水曜日。Disとcoが並んだファーストネームもどうかと思うがウェンズデイのyが三つ重なるせいで友達がみんなカウボーイの「イィィィィハ!」みたいに語尾を甲高く「ウェンズでE!」といなないてぶふーふ笑うもんだから俺は…いろいろあって、風が吹いたら桶屋が儲かる的に迷子捜し専門の探偵になる。俺のキャデラックのボディには俺の名前と事務所の住所と電話番号の上に『ベイビー、あんたが探してんのは結局あんた自身なのよ』って書いてある。

 

 以上が本書の最初の段落です。深く日本語に親しんだ皆様なら口を揃えて「は?」となることでしょう。僕も実際そうなりました。そしてほぼこのテンションのままで1000ページ超を突っ走ります。

 ただ、読んで「は?」となるだけの文章ならそこら中に転がってますが、ここまでの疾走感を伴ったものは滅多に見られないでしょう。

 ちなみに一文目は「今(now)とここ(here)で表す現在地点(now here)がどこでもない場所(nowhere)になる英語」ってことです。たぶん。

 

 とにかく地の文における遠回りな言い回しが多く、文意を受け取るのに少し苦労する場面もありますが、文章自体はもはや暴力的なペースで脳味噌に吸い込まれていきます。脳内麻薬とやらが本当に出る。

 また「原稿用紙の使い方」がかなり独特で、

 ・「…」は必ずしも偶数個で用いない

 ・セリフの後で改行しない

 ・「!」や「?」の後の一文字開けが無い

など、独自のルールが見受けられます。慣れないと戸惑いますが、結果としてページの余白が少なくなるため、畳み掛けるような文体と相乗効果で疾走感がマシマシです。

 

 上記の通り文体も相当ですが、ストーリーも滅茶苦茶にイっちゃってます。それはもうあらすじを説明できないくらい。

 冒頭のアウトラインだけ簡単に紹介します。

 

 

 

 迷子捜し専門の探偵、ディスコ水曜日(Disco Wednesdayyy)は、誘拐された梢という少女(6歳)を保護したが、家に帰すことを梢の両親が拒んだため、やむなく面倒をみることになった。

 二人暮らしも落ち着いて来た頃、梢の体が一瞬にして成長し、数秒で元に戻る、という現象が起こるようになる。ディスコは成長した梢と手紙をやりとりし、言葉を交わす。どうやら17歳の梢が6歳の梢の肉体にタイムスリップしてきているらしい。

 

 

 

 尻切れトンボですがどこで切ってもこうなります。わかりやすい区切れがないまま1000ページに渡って物語が連続します。ミステリーあり、アンチミステリーあり、SFあり、ファンタジーあり、科学あり、暗号あり、エロありグロありXXXあり。これだけの要素を一作に集約しながら、オムニバス的でなく一個のストーリーが出来上がっているというのはもうとんでもないことだと思います。

 

 まだこの本の読者と邂逅したことがありません。誰かぜひ読んでほしい。

 

 ちなみに表紙イラストは初音ミクでおなじみKEIさんです。

 ムゲンダイナ木下さんどうですか

 

 

 

 

 

 

2.佐藤友哉『灰色のダイエットコカコーラ』

f:id:close226:20200118173144j:plain

 

 

かつて六十三人もの人間を殺害し、暴力と恐怖の体現者たる“覇王”として君臨した今は亡き偉大な祖父。その直径たる「僕」がこの町を、この世界を支配するーーそんな虹色の未来の夢もつかの間、「肉のカタマリ」として未だ何者でもない灰色の現実(十九歳)を迎えてしまったことに「僕」は気づいてしまう……。「僕」の全力の反撃が始まるーー‼︎

 

 

 以上が表紙裏のあらすじです。 

 この作者の特徴は、生々しく現実的な部分と、地に足の着いていない非現実的な部分(≠非現実)の絶妙なバランスです。

 本書の場合、“覇王”の祖父に可愛がられたり、親友のミナミくんが焼身自殺したり、スギハラ先輩のXXXをハサミで切り取ったりの「過去」パートが総じて「非現実的」であるのに対し、通販で頼んだ本がなかなか届かない北海道の田舎で漫然と日々を送る「現在」が「現実的」と言えます。

 

 この本もあらすじの説明が難しいのですが、誰もが抱く「自分は他とは違う」という感情、有り体に言えば「中二病」に対して、歳を重ねる上でどう折り合いをつけていくか、みたいなテーマだと思ってます。

 

 理想と現実の乖離に対して、普通の青春小説なら失恋や喧嘩の一つ二つでもしてスッキリ折り合いをつけるのでしょうが、本書の主人公は尋常じゃないほど抵抗します。

 

  何をするとは言いませんが、主人公は“覇王”の祖父から拳銃を受け継いでいます。あとはキミの目で確かめろ。

 

 

 

 

 

 

 

3.西尾維新『君と僕が壊した世界』

f:id:close226:20200118185342j:plain

 

 西尾維新は間違いなく僕の読書歴のターニングポイントのひとつです。どれを推薦しようか迷いましたが、有名どころを避けつつ、十分に尖った1冊を選んだつもりです。

 

 ちなみにここまでの舞城、佐藤、西尾でくろーず的三銃士です。

 

 本書は「世界シリーズ」の3巻ですが、前作までを読んでいなくても問題ないと思います。最終巻はいつ出るんですか先生。そう言えば1巻をあーすさんに100年くらい貸してる気がする。

 

 

 ただ、この小説に限っては何を言ってもネタバレになる気がするのでここで終わります。読んだ人は納得していただけるでしょう。

 

 とりあえず様刻くん最高! 

 

 

 

 

 

 

4.桜庭一樹砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

f:id:close226:20200118192347p:plain

 

 受験前に頭おかしくなって本ばっか読んでた時期に出会いました。

 

 とにっっかく悲劇。

 

 量的には200ページ無いぐらいでひと息に読めるのですが、読んでいて本当に胸が痛くなります。誇張抜きで。

 

 巻末に解説が載っておりこれが非常に面白いのですが、曰く、人は予期できない悲劇より予期できる悲劇に深く感動する、みたいなことらしい。

 

 事実、この小説は全体が回想の形を取っており、物語の結末は冒頭で明かされてしまいます。

 

 つまり、このあと何が起こるかわかっているからこそ読んでいて深い悲しみに襲われるというわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 書いていて辛くなってきました。だんだん文章量が減ってきてますが疲れているのではなく舞城の小説の紹介がディフィカルトすぎただけです。

 

 でもまあ第1回ならこれぐらいでいいでしょう。次回はコミック編やります。来週末にでも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 このブログ毎週更新にしようかしら。